2008-12-17

非正規雇用切りの結末


昨今相次ぐ派遣切りに関しては、年末正月休みをいかに乗り切るか?という近々の問題に話が集中して、その後の展望については『ええい!なるがままよ』的なことになっているが、一つ僕が疑問に思うのは例えば今盛んに首を切られている自動車産業に関わる非正規雇用者の大量解雇によって、それまで受け継がれて来た世界に誇る技術力に影響は無いのか?ということだ。工場における非正規雇用者の配置は大抵の場合単純作業の繰り返しを行なう部署が多いが、じゃあそれがすぐに誰にでもできることかと言うとそうではないはずだ。自分の経験からしてもその単純作業の中で自分なりにもっと効率の良い仕事のやり方を模索し、組み立てなどの作業に於いてもこだわりを持って行なっていた。なので人が代われば人それぞれのやり方や、できばえのばらつきができるのは人間がやる以上当然のことだ。それは徹底した作業管理を行なうトヨタのラインでも同じことだろう。だからこそこの景気悪化で組み立てラインを停止しそこで働く人々を切った場合、景気回復後に再びラインを再開したとしてもすぐには以前の品質を取り戻すことはできないのではないか?と思うのだ。現在、インフルエンザ以上に猛威を振るっている非正規雇用切りの嵐は、人々の生活を奪うとともに今まで培われて来た技術力をも失う恐れがあることを危惧している経営者がどれほど居るだろうか?彼らの多くはただただ数字に踊らされ、数字の虜になってはいまいか?人を切ることで望む数字になるかも知れない。しかし、数字は人を生まず、人を育てない。
今各地で吹き荒れている嵐は多くの技術者から職を奪い、技術の喪失をも招いている。経済的にも技術的にも、更には人的にも力を失いつつある我が国に、誰が希望を見い出せようか?

0 件のコメント: