2008-12-13

それぞれの心


休みなのに朝7時には起きJackieの散歩し、そのまま朝食も食べずに庭仕事をあれこれ片付けていると、我が家の敷地の前にある堤防の上をシャベルを持った人が歩いて来た。よく見るとその人物はすぐそこの橋の下に住むホームレスのおっさんで、僕が草刈りをした堤防の斜面まで来るといきなりガツガツと穴を掘り始めた。『何しとんのやろ?』と僕が庭から眺めていると、ようやく僕が見ていることに気づいたのか掘るのを止めてもそもそとねぐらへ帰って行った。結局何をしていたのか分からないまま、ようやく遅い朝ご飯を食べて再び庭仕事をしていると、近くの県道上に冷凍庫付きの軽自動車が止まり、白衣を着たこれまたおっさん2人が降りて来て何かを探している。『あっ、そういうことか!』ここで彼の穴掘りの理由が解った。白衣のおっさんらに『なに探しとるん?』と聞くと案の定『猫を轢いたという人から連絡があってね、それで引き取りに来たんやけど無いんやわ』と言う。『それならさっきホームレスの人が穴掘ろうとしとったから、そこに埋めたらへんやろか?』とその場所を見に行くと、白い毛が地表に現れた無造作な埋めかたで彼が飼っていたであろう白猫が埋葬されていた。だからといって市から派遣された人らも連絡があった以上手ぶらでは帰れず、さりとて掘る道具も持っていなかったので僕が掘り出して彼らに骸を託し作業は終了した。
その白猫を僕はよく知っている。なにせ我が家の猫の最大のライバルでしょっちゅうケンカしてたからね。行動力があってあっちこっちに出没していたから、いつかこんな日が来るような気がしていた。確か白猫の兄弟分も半年程前にやはり同じ場所で轢かれているし・・。それにしてもその猫を轢いた本人が市に連絡して処分を依頼するなんて、現場には小さなブルーシートが残されていたところを見ると、ひき逃げしたのではなく引き返して来てそれなりの対応をとったのだろう。骸にはかなりの出血痕があったので車に乗せるというわけにはいかなかったのかも知れない。そしてホームレスの彼もどれだけ白猫をかわいがっていたのかは知らないが、無造作だけどちゃんと埋葬してあげようとした彼の『心』を僕は感じることができた。無造作に埋葬してあったのも人目を避けたいがために急いでやったからそうなっただけのことだろう。いつも人目を避け、人との接触を極端に嫌っている彼にとってはそれが白猫にやってあげれる最大限のことだったのかも知れない。
彼は愛すべきものを失ってしまった・・

合掌

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