2010-07-31

残響


今晩は各地で花火大会が催されているようで、ドーン、ズズーンという重たい響きがこのべと付く大気を揺らしている。花火を見たい気はするが1人で行ってもつまらんだろうから、ただ音だけを聞いてその臨場感に浸っている。そしてこの花火の音を聞いているといつも思うのだ、『日本はやっぱり平和な国だな・・』と。

あれは僕が24の時だった。内戦直後(部分的にはまだ戦闘が行われていた)のカンボジアはシェムリアプでのこと、アンコールワットを訪れるため宿泊していたゲストハウスに集まった我らがチェンラ組+豚舟カメラマンの一行では、戦闘が繰り広げられている前線へ行こうとする者と『危険だからやめろ』と言って止める者との間で議論を戦わせていたが、その折にも今日の花火のようなズーン、ドドーンという重たい音がジャングルの遥か遠くから響いて来て、僕はその音を『まさか・・たぶん雷の音だろう』と思うようにしていたが、結局僕らの制止を振り切って前線へ赴いた豚舟カメラマン曰く、迫撃砲の着弾音とのことだった。

そんなカンボジアも経済発展に沸き、大きく様変わりしているようだ。首都プノンペンからシェムリアプへのスピードボートに乗った当時は川岸から狙撃されたと言う話や、僕の隣に座った兵士がAK47カラシニコフ銃の銃口を僕に向けて素知らぬ顔でいたことなど、今となっては嘘のような出来事ばかりだな。
ああ、もう一度、いや一度と言わず何回でもこの混沌たるアジア世界を経巡りたい。歳を取ってしまうが子供達が大きくなればそれは可能になる。おそらく妻もそのつもりだろう。なんたって僕らは筋金入りのバックパッカーなのだから・・

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