2008-08-01

生活


我が家のすぐ近くにある県道に架かる橋の下には、以前にも書いたが路上生活者が住み着いており、空き缶集めなどをして生活している。先日も堤防にわんさと茂った雑草を草刈機にてなぎ払っていると、不意に男が二人現れて大声で何か喚いている。エンジンを即座に止めて聞いてみると市役所の福祉課の者だという。どうやら橋の下の主について調べに来たようで、見かけで分かる程度のことだけを話しておいた。おそらく生活保護を受けさせようと来たのだろうが、橋の下の主に軽くあしらわれて帰って行ったようだ。
彼はとにかく人と接するのを避けているようで、姿をよく見かけるものの言葉を交わしたことは一度も無い。何か言葉をかけるのをためらうほどの拒絶感を感じるのだ。そうかと思うと彼のところにたまに遊びに来る男は酔っ払っていることが多いがよくしゃべり、普通に「暑いね」と挨拶を交わしたりしている。毎週水曜のリサイクルの日には朝早くから空き缶集めに奔走しているようで、自転車の荷台に山盛りの空き缶を積み橋の下に運んだ後は空き缶をつぶすにぶい音がしばらく続く。
よく路上生活者のことを「怠け者」だと非難する人がいるが、彼を見ているとそんなことは思わない。リサイクルの日以外は遠出して他の地区を回っているようで、出勤途中にかなり離れた場所で縁石に腰掛け放心している彼を見かけたこともある。その姿を見て「仕事もせずに・・」と彼を非難することなどできない。彼はちゃんと仕事をし、収入を得、橋の下に居を構え、彼なりの生活をしているのだ。生活のスタイルが違うからといって何も悪いことをせず、迷惑もかけていない彼にとやかく言う権利など誰にも無い。
彼は彼の生活を続け、僕は僕の生活を続ける。ただそれだけのことだ

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