2008-08-06

僕が生まれるたった28年前の出来事


今から63年前の夏空に一発の不恰好な爆弾が落とされた。その爆弾は地上に達する前に炸裂し、十数万人の命を奪い去った。後遺症などで亡くなった人も含めると広島原爆死没者名簿に記された名は25万8,310名に上る。この未曾有の一般市民に対する無差別殺戮はいくら戦争とはいえ許されるものではない。ところがアメリカにおいては原爆投下によって戦争を早期に終結させることが出来たとしており、それによって100万人の命が救われたことになっている。このことは学校の歴史授業でも教えられていることで、いわばアメリカの定説でもある。妻とこの話題について話すとき僕はいつもアメリカの非道さを糾弾し、許されざる行為だ!と、まくし立てるが、妻は冷静に「確かに一般市民に対する原爆投下を良しとはしないが、あの当時の日本の状況では本土決戦に持ち込んでそれこそ沖縄戦(戦死者19万人その内民間人10万人、米軍1万2千人)同様の惨状になったんじゃないの?」と言う。そうだ、その通りだ。本土決戦になっていたらアメリカの見積もりの100万人を軽く超える人が死んでいただろう。それは容易に想像できる。でもな、やっぱ原爆投下は許されない。
いつもこんな感じで話は膠着し、平行線をたどる。
原爆投下に至る伏線はこんな単純なものではなく、様々な思惑が入り乱れたドロドロとしたものだろうが、どんな理由にせよたった一発の爆弾で多くの人が命を、家族を失い、その後の長い年月を苦しみに喘ぎながら生きねばならなくなった事実だけは揺るがない。
戦争は思惑で人を殺し、憶測で人を殺し、任意で人を殺す。そこには正義は無く、理不尽な死があるのみ。
戦争は二度としてはならない。
我々にはもっと戦うべき相手があるはずだ。

黙祷

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