2013-12-28

roots















親父殿が我が畑で収穫された黒豆を取りに来たので、『まあ、上がりゃー』と茶を飲みながらいろいろ話しているうちに、ふと確かめておきたいことがあって平成元年に亡くなった祖母のことを聞いてみた。祖母は関東大震災で被災してこちらにやって来たことは聞いていたが、その詳細を尋ねたのだ。
祖母は東京生まれで日本橋近くに住んでいた。17歳の時に関東大震災に遭遇し、壊れた家の下敷きになって動けなかったという。火の手が目前まで迫った時にようやく助け出されて九死に一生を得、親戚を頼って壊滅した東海道線ではなく中央線を経てこの地方へやってきたらしい。こちらで電話交換手として働いているうちに祖父との縁談話が出て結婚し親父殿が生まれたのだ。地震には人一倍敏感で、少しでも揺すったら家を飛び出していたという。
やはりそうだった。関東大震災が無ければ多くの命が失われずに済んだが、反面僕は今ここに存在していないことになる。タラレバ論を言っていても仕方がないが結果として我が一族に関東大震災が大きく作用していたのだ。なにか不思議な感じがする。地震は多くの人の命を奪うが、一方で人の流れを変え新たなる命を生み出す。その証が自分なんだ。

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