2011-08-02

祖母逝く


妻の祖母が急逝した。93歳だった。
その日は夏休みを利用してアメリカ各地から孫やひ孫達がシアトルに集まっていた。例年なら腕を振るって祖母得意のクッキーやらケーキやらを焼き皆を喜ばすのだが、すこし体調も悪かったのとすばらしく良いお天気だったので、ひ孫達のためにアイスクリームを買いに行くことを思いついたらしい。
丘の上にあるアパートメントからスーパーまでは近く、アイスクリームをたくさん買い込んでアパートメントに帰るべく坂を登っている時にバランスを崩して転倒したようで、すぐさま見ていた人達がアンビュランスを呼んでくれ、病院に担ぎ込まれ診察を受けると腰の骨を骨折していて緊急手術が必要ということになった。
ところが最近心臓肥大が顕著になっていた祖母は、血液をサラサラにする投薬を受けていたためにすぐには手術が行えず、薬の効果が落ちるのを待って手術が行われ、そして手術自体は成功したものの麻酔や手術に伴う体力的消耗からついには回復しきれずに、そのまま旅立たれたということだ。
転倒から亡くなるまで僅か3日間のできごとだった。僕も骨折したという連絡は受けたが、よもや亡くなってしまうとは思いもしなかったので衝撃だった。それ以上にシアトルでは皆が激しい喪失感と深い悲しみに包まれている。
妻のファミリーは典型的な女系一族で、歳を取ったといえども祖母はいろいろな面でその頂点に君臨して来た。その要がなくなってしまったのだ。

祖母はずっと前から自分の名を御影石に刻み、墓の用意をしていた。生前一度そこへ連れて行ってもらったことがあるが、遠くにシアトル湾を望む緑豊かな丘の上にその墓地は広がり、『ここならさぞかし気持ちよく眠れるだろうな・・』と、そんなことを思わせるロケーションだった。
そこで祖母は永遠の眠りにつく。
ひょっとしたら祖母のシナリオ通りなのかもしれないね。

ご冥福を祈ります。

合掌

2 件のコメント:

PANALI さんのコメント...

それはそれは、ご愁傷さまでした。
不意の転倒は不幸な事故だったでしょうが、お孫さんたちに囲まれた状況を想像すると、幸せな大往生なのかもしれませんね。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。

chikyujin さんのコメント...

PANALI様
いのちの花は、長く咲いているようで案外あっさりと散るものですね。