2011-10-30

恫喝


あいにくの雨模様のこの日、長女と次女を連れてニトリに赴きあれこれと家具などを物色する。しかし欲しかったものは無く、雨の日曜の猛烈な混雑に辟易して店を出ようとすると『Daddy,トイレ〜』。娘達をトイレに連れてゆき自分もついでに用を足そうとトイレに入ると、中から怒鳴り声が聞こえる。『何や?』と構わず入ってゆくと、洋式トイレのドアを開け放ち父親が便器に座る息子に向かって罵声を浴びせていた。どうやらその男の子がお漏らしをしたらしいのだ。しかしだ、その父親は完全にキレていて自分の息子なのに『今度やったらオマエ殺すぞ!』などと、聞いているこちらがびっくりするようなことを口にして、まったく怒りを抑えれない様子だ。洋式トイレのドアのすぐ横には叱られている子の弟が、引きつったような顔で立っていた。トイレから出て娘達を待っていると、子の父親は怒りの形相で足早にトイレから出て来て、そのまま息子達を顧みもせずに店内へと去って行った。そのあとを怯えたような表情でついてゆく子供達の表情が忘れられない。僕には彼らの不幸が、この先もずっと続く不幸が見えてしまう。どんなに怒り狂っても自分の子供を『殺す!』などとなぜ言えようか、しかもお漏らししたくらいのことで・・
その父親の外見は特別ガラが悪いという風でもなく、ごく普通の人間だった。それがかえって恐ろしかった。そんなひどいことを言う父親でもこの兄弟にとっては、『お父さん』なのだ。それがまた辛い。
『子は親を選べない』
自分はどうあるべきか?今一度考えさせられた出来事だった。

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