2011-05-18

再会


朝、Jackieの散歩から戻って来ると、橋の下で空き缶を潰している人物が居た。『またホームレスの人が住み着いたか?』と、様子を見に行き声をかけて驚いた。『あれ、Sさんやんか!』本人はちょっと気まずそうな顔をしたあと、まくしたてるように話し始めた。
彼曰く『生活保護はまだもらっているが、役所の人間が「なぜ働かないのか?」と厳しく問いただしてくるのでたまらない。もちろん働く意思はあるが体調があまりよくないため雇ってくれるところも無い。なのでまた空き缶集めをして僅かなお金だけど国に返して行こうと思っている。役所の担当者もそれでいいと言っていた』と、どこまでが真実かは分からないが、彼が相当精神的に追いつめられているのだけは確かだった。47歳だという彼は口調もハキハキとしたカラッとしたタイプの人で、仕事をすれば何でも出来そうな人だがどうやら目眩が絶えず襲ってくるようで、それがもとで仕事を失い家族も無くしてしまったという人物だ。一昨年の初夏から晩秋にかけて橋の下で生活しており、その後生活保護支給を認められてアパートに移り住んだとは聞いていた。
おそらく様々なことが彼を苛み、そしていたたまれなくなって空き缶集めを再開したのだろう。『何かをしていないとおかしくなってしまう・・』とも彼は言っていた。怯えを孕んだ彼の表情が気にはなったが、彼を救うのは彼しかいないのだ。僕はちょっと離れたところから様子だけ見ていようと思う。

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