2007-04-19

甘い罠


彼はそんなに特別な人間だったのか?
ヴァージニア工科大学乱射事件のその後の報道は犯人が韓国籍の人間だったこと、社会に対して恨みを持っていたこと、挙動が異様であったことなどを中心にしつこいほど繰り返されているが、それらは巧妙に仕組まれた情報操作にほかならない。彼が韓国籍で社会に対し恨みを持っていたという事実に、政府を中心とした多くの者が『助かった!』と思ったはずだ。この事件がコロンバイン事件のようにアメリカ国籍のごく普通の白人少年が起こしていたとしたら、その衝撃は計り知れなかったことだろう。銃規制を求める市民運動の高まりも現在の比ではなく、銃擁護派のブッシュ政権に対する圧力も相当なものになっていたと思う。しかし、彼は『アメリカ人』ではなかったのだ。彼を韓国籍の反社会的異常人間であるとすることで『我々とは違う』ことを強調し、事件の本質をうやむやにしている。アメリカ人の多くはその報道を見て『ほら見ろ、やっぱりこんな無惨なことをするのは俺たちじゃなかった!』『これは外国籍の気違い野郎が起こしたことなのだ』と自分達の自尊心を満足させているのだろう。それこそが政府の思う壷なのだ。事件の本質を追求すれば影響は多岐に渡り、多くの諸問題が噴出し大混乱は必至だ。それを避けるためには彼を特別な存在に祭り上げなければならなかったのだ。

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