2007-02-19

バベルの塔


どうして高く聳えるものにそんなにも惹かれるのだろうか?
地平線の中に屹立する給水塔、鉄塔、高層ビル、それらは僕の視線を奪い、まるで向こうからこちらをじっと見つめているような気配を感じさせる。こちらが動いていても遮蔽物の間から見え隠れしながら監視を続けているようだ。その存在感は他を圧倒し、いつしか人々の心にまで入り込み畏れ多きものとしての地位を獲得している。人為的なものであっても何もないはずである空間に堂々と鎮座する様を見れば、もはや人為を越えたパワーを感じるのは当然のことだ。ただ、不思議に思うのは塔に引き寄せられつつも、その塔自体にのぼってみようなどとは思わないところだ。そうさせない何かを塔は発し、自分はそれを感じ取っているからだろう。

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