2007-02-07

空ろ


何かが物足りない。どうもバランスが崩れてしまっているようだ。
そいつの近くを通るときは必ず視線はそいつに吸い付けられ安定を保っていたのだが、あっさりと取り壊されてしまった今は視線が宙を漂ってしまい、妙な落ち着きの無さを感じる。これとまったく同じことをニューヨーク・マンハッタンのワールドトレードセンタービル跡地近くでも感じたことがある。妻の友人がツインタワーの近くに住んでいたこともあり、テロ以前の壁のように聳え、まわりを威圧するツインタワーをしばらく拝んでいたことがあった。その後テロが起こりツインタワーは崩壊したが、崩壊後の風景は写真などを見て感じるのとは比べ物にならないくらいの空ろさを漂わせていた。街を歩いていても何かおかしいのだ。何だろう?と振り返るとそこにあるべきモノがないのだ。空間のバランスは突如崩れ、連動して自分の精神にも異常を来す。妻の友人は結局そのアンバランスさに耐えられなくなり、引っ越しを余儀なくされた。

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