2007-02-02

刹那


うれしいことがあった。
左前足の折れたノラ猫がひょっこり現場事務所に現れたのだ。『おまえ、生きていたのか!』と感動すらした。昨年の6月まで現場事務所にて毎日餌をあげていたのだが、現場事務所の移転と現場終了によってそれっきりになってしまっていた。その頃はまだ左前足の骨折が癒着しておらずぷらぷらしており、このままでは生き延びることはまず無理だろうと思っていた。『面倒を見切れないのに餌付けをするほうがかわいそうだ』という意見もあり確かに迷いはしたが、ほんの刹那でも傷ついたノラ猫の空腹を満たしてやれればと思い餌を出していた。それが正しいことなのかどうかは今でも分からない。そして今日、元気な姿を見せてくれた。身体もひと回り大きくなったようだ。毛並みにもつやがある所を見ると誰かが餌を与えているのだろう。そうでなければ生き残れなかったはずだ。左前足は折れ曲がったままだが癒着したようで、相変わらずびっこを引きながら歩いていた。僕のことを憶えているのか、こちらを見て逃げもせずにゃーにゃー鳴いてた。また餌をあげようと思う。正しいかどうかなんて関係ない。ノラが満たされればそれで良い。過酷な現場の環境で生き抜いたノラへのご褒美として。

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