2011-07-31

ハマよ


シリア中部の都市ハマでの虐殺が止まらない。
シリア軍はとうとう戦車まで持ち出して民主化デモ参加者に銃撃や砲撃を加え、問答無用に殺戮しているようだ。AFPによると95人が死亡したという。
いったい命とはなんなんだろう?民主化を求めるデモを行っただけで殺されねばならないことなのか?相手は銃を持たぬ市民なのにそれでも戦車で銃撃を加えねばならないのか?
大きな水車がゆったりと回るあの穏やかなハマに、再びこんな災禍が降り掛かろうとは誰が予想できただろう。1982年にも1万人を越える人々が虐殺された。それを再現するかのような今回の出来事に『もういい加減にやめてくれ!』と、怒りとも悲しみともとれぬ気持ちになる。
僕がシリアを訪れたときもどういう国かはほとんど知らず、ただトルコへ陸路で抜けるための通過点だと思っていた。ところが国家の印象とは裏腹に人々は非常に親切で、特に地方都市の居心地はのんびりしていて最高だった。中部ハマに着いたときも始めは3日ほどの滞在予定だったのが2週間になり、シリアビザの有効期限1ヶ月を越えてしまうのが必至となったためこの地でビザをもう1ヶ月延長して、結局このハマだけでひと月も沈没していたのだ。この間地元の人の結婚式に妻と一緒に参加させてもらったり、『イスラム教徒にならないか?』と仲良くなった友人に聖者廟で誘いを受けたのもこの地だった。
とにかく妻ともどもハマにはかなりの思い入れがあって、再び起こった虐殺行為には言葉がない。
シリア軍の兵士よ、立ち止まりハマのシンボルの水車を見よ。
大きく、そしてゆったりと回る水車をしばし眺めれば、自分たちの行為がいかに愚かで空しいことか、よく分かるだろう。

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