2011-07-11

亀と老人


昨日の夕方、あまりの暑さで萎れかかっていた鉢植えの花々に水を遣っていると、近所に住むご老人が夕涼みの散歩に出かけるのか、軽やかな身なりで通りかかった。『こんにちは、暑さもだいぶマシになりましたね』と声を掛けると『ああ、そうだね』とニコニコしながら通り過ぎようとして、『そういえば・・』と振り返り『この間の雨の日、ここの駐車場いた亀はお宅の飼っている亀かね?』と聞いて来た。一瞬何のことか分からず『亀って?』と聞き返すと、『いや、大きな亀がこの駐車場にいて雨に打たれていたんだけど、道路の方に歩き始めたんで轢かれないようにお宅の方に戻しておいたんだよ。雨が降ってたから水浴びさせるために外に出してたのかな?と思ってね』と言う。
そこでようやく話が分かった。
彼が動かしたという亀はもちろん我が家の飼い亀ではない。この季節、甲羅が20cm以上もある大亀が産卵のために川から這い上がって来て、堤防周辺や我が畑など所かまわず産卵してゆく。つい昨日もカボチャ畑の畝を30cm近い大物がゆっくりと歩いていたばかりだ。亀のほとんどはクサガメで、孵化した幼体を見かけたことはあるものの産卵場はネズミやモグラに荒らされて、孵化するまで生き残るのはほんの一握りでしかない。そんな厳しい生き残り競争を経た者達が再び陸へと戻って来ているのだ。
僕達にとっては大亀がそこら辺をもそもそ動いているのは、もはや珍しいことではない。でもご老人には違って見えたのだね。なんかそのギャップが面白くて愉快だった。
そうかあ、亀に水浴びか・・なんか情緒があっていいね。

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