2011-03-22

科学者一家


妻の一家は皆科学者だ。妻曰く『自分も科学者を目指せばなれたはずだ』と言う。しかしよくあることで皆がそうだと『自分は決して科学者にはならない』と思うらしい。それで大学も日本風に言うなら『文系』を選び、血のルーツでもある日本について学んでいた。

そんな話はさておいて、ここ数日妻がよくこぼすのだ、『自分の一家が科学者で本当に良かった』と。そのわけは言うまでもなく東北大震災に関してのことで、原発に安定化の兆しが見えて来たにも拘らず野菜や水道水・海水から放射線が検出されたと連日報道され、それに対する海外メディアの騒ぎ立てようは尋常ではない。もちろんそんなキケンな日本に我が子が滞在してるなんてとても受け入れられない!という親心が強烈に働いて、毎日のように『今すぐ帰って来い』攻撃が電話・メール・フェイスブックなどあらゆる手段を使って繰り返され、果ては一族郎党からこぞって催促されるという。そんな状況下で耐えきれなくなって帰国を決断する者も多く出ているようで、今日も妻の友人の一人が一年前に買ったばかりの家を売って、日本人の夫と赤ちゃんを連れて帰国する決断をしたという。
それに対して妻の一家は至って冷静で、人一倍の心配性でもある継母さえ放射能汚染に関してはよく理解し何も言うことはしない。実母などは妻の出産の手助けのため、明後日に来日し、それからビザの許す3ヶ月間いっぱいまで我が家に滞在する予定だ。そこにあるのは長年科学者として培って来た『目』であり、過剰な報道に弄ばれるようなことも無く、淡々と情報分析を行うプロの目だ。

こんな時だからこそ日本に居る我が子の不安を少しでも和らげる心遣いが必要ではないか?ほんとそう思うよ。

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