2009-07-27

橋の下の孤独


今朝、いつものように食べきれないキュウリを持って橋の下を訪れると、バラック小屋からちょうどオヤジさんが出て来たところだった。このオヤジさん(Sさん)は以前型枠大工やっていたそうで、橋の下のスペースにベニヤ板や様々な材を使って巧みに小屋を拵え、その規模は見る度に大きくなっているようだ。おそらく4〜5人用テント並の広さを持ち、おまけにちょっとした縁台までしつらえてある。

そのオヤジさんと言葉を交わし、お裾分けのキュウリを渡してHさんにも分けといてと頼むと、Hさんはもうこの橋の下には居ないと言う。どこかに借家が見つかったそうで、そちらに引っ越したらしい。橋の下のHさんのスペースはきれいに片付けられ、何も残っていなかった。
最後に会った時は生活保護の申請に行くんだと言っていたので、ひょっとするとそれが通ったのかも知れない。しかしそれにしては結果が出るのが早過ぎるので、何か別のつてでもあったのだろう。それはそれでHさんにとってはよい展開になって良かったと思う。ただ不思議なのは昨日堤防の草を処分しているときに橋の下にいる彼の姿を見たことだ。ねぐらを引き払ったのなら一体あそこで何をしていたのだろう。
オヤジさんは少し動揺した感じで彼が借家を見つけたことや、電話番号を知っているがかけてみたら不通となっていたこと、彼にはまだ親兄弟が居ておそらく保証人として彼を助けたのだろうといったことを話し、彼が先に去って行ったことを喜びつつも、何処かに寂しさを漂わせ、そして焦りを感じているようだった。

オヤジさんが昨日外出先から戻って来ると、川そばに置いてある発砲スチロールの箱にナマズが入っていたそうだ。なるほどそれくらいの時間に僕がHさんを見かけたので、普段暇つぶしにとやっていた釣りでナマズを釣り上げ、この川のコイやナマズ・ウナギを捌いて食べるオヤジさんの為に置き土産として箱に入れて行ったのだろう。
ただ、オヤジさんが見たときにはすでにそのナマズは死んでしまっていたそうだ・・

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