2009-07-12

様々な人生


河川敷に転がる無数のゴミを拾い集めていると、橋の下に住む2人のホームレスの若い方の人が堤防に出て地面をしきりに突っついている。何をしているのか?と思い近づいて『おじさん、何しとるん?』と尋ねると、振り返った顔はずいぶんと若い。『おじさんじゃないね』というと、彼曰く『まだ45だからね』と、はにかみながら答えてくれた。それからしばらく2人で立ち話をして、彼がホームレスになるに至る経緯を聞いたりしたが、その生き様は過酷を極め最早や同情は受け付けず、ただ僕は嘆息するしかなかった・・
何でも彼のもとの住まいはこのごく近所で、その家を僕も知っている。アパレル関係の仕事をしていたが体調を崩し働くことが出来なくなり、そのうち妻と離婚。妻の実家も同じ校区でかなり近いが高校一年と中学二年になる子供達とは会わせてもらえない。家も手放すこととなり、その売却資金でアパートを借りしばらく住んでいたが家賃が払えなくなって車での生活をはじめ、今年3月18日にその車も処分して、以来この橋の下に身を寄せ、先住のオヤジさんに空き缶拾いの手ほどきを受け何とか生きていると言う。
彼は生まれが近所のため、空き缶拾いの姿を知り合いに見られないようになるべく他校区方面へ出かけるが、それでも出くわしてしまうこともあり恥ずかしくて仕方がない思いを何度もしたそうだ。空き缶拾いは一度出向けば800円ほどの収入になり、月にすると2〜3万円ほど。それでも毎日喰って行くことは出来ないと言う。風呂は月に一回、コンクリートの上に寝袋を敷いて寝ているが堅くて何度も寝返りを打つため熟睡できず、おまけにヤブ蚊の攻撃が猛烈でたまらないという。『ここに来てから17キロも痩せてしまったよ』と爽やかに笑う彼に僕は畏敬の念を覚えたほどだ。
彼はまだ若いからかなり遠くへも空き缶集めに出向けるが、同じ橋の下のオヤジさんは高齢のため彼の3分の1ほどしか集めれないと、自分のことはさておいて彼のことを心配していたのが印象に残った。
その他、生活保護や年金、仕事など様々なことについて話したが、ずいぶんと深く考えさせられることが多かった。今日の彼との会話は確実に僕の中に新たな視点を生み、考えの幅を広げることだろう。
僕は彼に『この先なにか良い展開があるといいのだけれど・・』と言うのがやっとだった・・

その後家に戻り、我が家の畑で穫れたキュウリ、トマト、ナスを持参し、Hさんとオヤジさんのもとに置いて来た。

0 件のコメント: