2008-10-21

弱者


あらゆる立場に於いて『弱者』は存在するが、その中でも経済的弱者の気持ちはよく分かる。長い旅に出る前の数年と帰国後の数年は派遣(その頃製造業に関しては派遣は禁じられていたので「業務請け負い」というかたちをとっていた。もちろん違法だ)社員として、正社員と何ら変わらぬ作業をこなし真面目に働いていた。受注が多いと納期に間に合わせるため連日連夜の作業が続き、それはそれで稼ぐことはできたが仕事が少なくなると3ヶ月ごとの更新がされず、『もういいよ』なんてあっさり仕事を切られることも何度か経験した。その時に感じた空しさは味わった者にしか分からないだろう。それまでは『頑張ってるね』とか『頼りにしてるよ』なんて言われていたのにそれがあっさりとクビなのだ・・。そりゃ、自分の能力を疑うさ。『オレは何もできない不必要な人間なんじゃないか?』ってね。会社のヤツらを呪ったよ。お前らにもいつかこの思いを味あわせてやるとね。僕は決して会社を信じない。忠誠などない。会社とは利用するものだ、と思っている。今でこそ派遣よりはいくらかましな身分になってはいるが、不安定なことには何ら変わりがない。会社は僕らを必要なときはちやほやし、業績が鈍って来たらクビを切るだろう。そんなことにはもう慣れた。失業し職を探さねばならぬ惨めさは考えるだけで辛いが、僕らは生きねばならないのだ。僕は今35だが、いままで一度も正社員になったことが無い。なりたいとも思わない。そんなことはどうでもいいことだ。自分を使ってくれるところを探しちゃいけない。自分が使えるところを探すんだ。しかしそれも最近の景気減速で難しくなっている。トヨタを支えて来た多くの契約社員が有無を言わせず職を奪われ路頭に迷い、その数は日に日に増すばかりだ。彼ら彼女らの空しさは、憤りはどこに向かうのだろう?行き場と希望を失った者達の叫びはネットカフェの闇に消え、とんでもないところで爆発する。その闇の力に方向性を与える者が現れた時、果たして歯止めをかけることができるだろうか。それが最も恐れていることだ

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