2015-09-28

友よ、













今年もこの日がやってきた。
相変わらず君は氷に閉ざされた神々の座から世間を見下ろしているが、下々の世界は君がいた頃よりむしろ悪化している様にさえ感じられるよ。
君が危険を顧みず取材を続けていたカシミールでは散発的な衝突が続き、住民が犠牲となっている。インド・パキスタン双方とも『先に攻撃を仕掛けてきたのは相手だ』と決まり文句を繰り返し、『いい加減この無益な紛争を止めよう』なんて声は微塵も聞こえない。お互いパワーゲームの虜となり、全面衝突の危機は常にある。
君は言った『戦争は必要悪だ』と。
その言葉に僕は強い違和感を感じたが、長年実際の紛争地帯を取材し、目にしてきた君だから僕にはわからぬ強い思いがあったのだろう。
今の世界の現実を見ると『戦争反対』という言葉のほうがむしろ虚しさを感じるほどだ。
それほど現実は厳しく、人々は苦しんでいる。
君はいつか再び姿を現わすだろうが、その時の世界が今より争いのない世界であることを願わずにはいられない。

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