2008-06-16

拘束


イランの武装集団に8ヶ月もの間拘束されていた中村さんが突然解放された。あまりにも突然だったので『えっ、なんで?』と驚いてしまったが、そんなことよりも彼が元気そうで何よりだ。僕が見た感じでは両国政府関係者や多くの報道陣に囲まれ、気圧され気味でちょっと戸惑ったような表情も見せたが会見の内容は言葉を慎重に選び、事件について問われると『それについて僕からコメントすることは控えさせて頂きたい』と彼が置かれた微妙な立場を反映させて無難に切り抜けていた。もちろん誘拐される前の彼についてはネパールでのボランティア活動中の写真でしか知らないが、今回解放後の彼の表情から察するとどことなく『影』の部分は感じさせるものの、かなり逞しくなった印象を受けるがどうだろうか?相当の精神的重圧を乗り切ったのだから当然と言えば当然なことだな。
この先彼がどの程度拘束されていた8ヶ月間について語るかは分からないが、これほど特殊なケースは極めて稀なため各方面からの問い合わせが殺到することだろう。おそらく武装集団との生活でペルシャ語もかなり話せるようになったことだろうし、各国政府の力が及ばない部族支配地域を国境をまたいで転々としていた経緯を見ても、単なる学生バックパッカーが旅行中に拉致され、無事解放されて良かったね、程度で終わってしまうような薄っぺらな内容とはかけ離れている。実際僕がその8ヶ月間の生活について取材したいくらいで、当然のごとく各社マスコミもルポのようなかたちで彼に執筆もしくは取材を願うことだろう。
彼にとって拘束されていた8ヶ月間はとてつもなく長かったろうが、おそらく解放後はその8ヶ月間の生活が反対に彼を拘束し、それは今後の彼の人生に大きく影響を与え続けることだろう。そんなことは本人が一番よく理解してるんだろうね・・。
解放後の記者会見ではしきりに『迷惑をかけた』だの『大変申し訳なかった』だのと謝罪の言葉ばかりが目立ったが、実際彼は何も悪いことはしていないわけで謝罪する必要など全く無い。無いにも関わらず謝罪せねば叩かれるというこの国の歪んだ現実は、本当に情けなくやりきれない。

For The People Of Tibet

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