2008-02-25

Cold case


迷宮入りした未解決事件をCold caseと呼ぶが、同名のドラマシリーズがアメリカで放映されており、これが今回の三浦容疑者の逮捕と同じように殺人罪においては時効無く、何かのきっかけや科学捜査技術の進歩から倉庫に眠っていた捜査資料がにわかに甦り、何十年も前の事件が解決に向かうというストーリーなのだ。こう書くと陳腐な刑事もののように聞こえるが、科学捜査と言っても『CSI科学捜査班』のような科学技術面に偏重した気味の悪さも無く、『Third watch』のような部内もの的な安っぽさも無い。迷宮入りした事件の捜査資料の封印を解くと一気に時間は遡り、当時の人間模様が社会的背景を搦めて再現される。事件の解決に向けての動きはなんら現在の事件の捜査方法と変わらないが、Cold caseの捜査の重みは過ぎ去った時間の重みでもある。事件は未解決のままある一点で止まっているが、それに関わる人々はその事件をきっかけにそれぞれの人生を歩み、重荷を背負って生きているのだ。殺人罪に時効がある日本おいては『27年も前の・・』ということになり、済んだことじゃん的な捉え方でもCold caseにおいてはむしろ逆にその時間の重みがあるからこそ新事実が出れば捜査せねばならない。捜査が再開されれば再び関わりのある人々は止まっていたはずの『あの一点』に連れ戻され、過去の清算を余儀なくされる。捜査の進展によっては事件後に培ったものがことごとく崩壊し、過ぎ去った何十年かがリセットされてしまうこともあるのだ。ドラマの『Cold case』は毎回この「過ぎ去った時間の重み」をそれに翻弄される人々を通して見るものに投げかけてくる。そこには否定も肯定も無く、ただ何とも表現のできぬ「余韻』だけが残される。それは起きたことを有りのまま受け入れねばならないことに対する戸惑いなのかも知れない。
ドラマでここまで深く作り込んだ作品を僕は見たことが無い。しかしそれまでDVDに録画して送ってくれていた義母が、なぜか同時間帯の他のドラマを録画するようになってしまったので、妻共々寂しい思いをしているのだ。どうやらCold caseの放映前によくフットボールや、大リーグの試合が組まれて延長し、何度も録画し損なった結果他のドラマに切り替えたということらしいが・・返す返すも残念至極。でも『24』はちゃんと押さえてます。

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