2008-02-04

とある収集家


日曜日、車検を受けたプレマシーのブレーキの効きがどうも甘くなったのでマツダに持ち込み再メンテ、その間懇意にしているマネージャーさんとあーだこーだ話していると、中日ドラゴンズの帽子をかぶり全体的にちょっとはだけた風体の人物がフラフラした足取りでショールームに近づきガラス越しに中を覗き込むと、ためらうことなくドアを開け中に入りカウンターに置いてあるモノを鷲掴みし始めた。僕はあっけにとられて見ていたが、マネージャーさんはスッと立ち上がるや『今日はお配りしているモノはありません!そこのモノはダメですよ!』と言い放った。すると男性は引きつった笑いのような、何とも言えぬ表情を残して去って行った。その手には傘とともにポケットティッシュのようなものがたくさん入った袋が握られていた・・
マネージャーさんがよく知っているようだったので聞くと、彼はこの周辺にある店を訪れては基本的に無料のサンプルや提供品、期間イベント品などを物色している常習者らしい。マツダの他の支店にも出没するというので歩きにしてはかなりの行動範囲を持っていることになる。店側としても無料のモノを欲しがるだけならいいが、勝手に中に入って来て展示してあるモノまで持って行こうとするのでそこは困るということだった。彼の身なりははだけた感はあるがカジュアル風で着ているモノも悪くない、それゆえ余計彼の家人の苦労が伝わって来て『さぞかし大変だろうな・・』と思ってしまった。彼の行動は相当の苦情を呼び、警察にも何度も通報されていることだろう。常習者として、そういう人として、その存在を受け入れられれば彼は特異な収集家として生きていくことができるだろうが、この遊びのない社会では彼の居場所は奪われてどこにもなくなってしまうに違いない。
彼は無料サンプルなどを収集することに自分の存在価値を見い出した。その点においてはそれぞれの価値を見い出して生活している僕らと何ら変わりがない。始め僕は彼のことを精神が病んでいると感じたが、そういう存在をそういうものとして受け入れられない自分達の方が病んでいるのかも知れないな・・

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