2009-02-20

本音


夕飯も終わりに近づいた頃、懇意にしているマツダの営業さんから電話が入った。『ぜひともプレマシーの12ヶ月点検を受けて欲しい』とのことで、今夜で3度目のお願いとなる。僕としては常日頃から車の調子に気を配り、異音などしたらすぐに見せに行くよう心掛けているため、基本的には車検以外に車の点検をするつもりはない。どころか2年おきの車検すら必要ないとさえ思っている。アメリカを見よ、『車検』などなくとも車は立派に走っており、路上で故障車を目にする機会も少ない。もちろんアメリカでも法定の検査は受けなければならないが、それは100ドルにも満たないほど安価で所有者の負担は軽く、日本のように税金や自賠責保険が含まれているとしても普通車で10万を越えるような額になりはしない。
そんな思いでいるからマツダの営業さんの熱心な勧誘にも『行かない可能性が高い』と伝えてはいたが、3度目の勧誘にあたって彼とは懇意でもあるし、いい加減な答えもかえって彼に対し失礼であると考え、『本音』をぶつけることにした。
その本音とはこうだ。実は1年前のプレマシーの車検の折り、車検終了後にブレーキが効かなくなるという重大なトラブルがあった。どうもおかしいのでマツダに持ち込むとブレーキオイルにエアーが混入し、ブレーキの効きが極端に落ちたのが原因と解ったが、こんな初歩的なミスは信じられないもので、しかも何万も払って車検を受けたのに受ける前より調子が悪くなり、怒りを通り越して呆れたほどだ。そんな経緯があったので妻と相談し、いくら営業の彼と懇意とはいえメカニックの質は信じられず、今後マツダでは車検を受けないと決めていた。
その旨を正直に伝え、車検をマツダで受けることは無い、とはっきり伝えると。彼もその時のことを憶えているので『自分も同じ判断をするでしょう。大変申し訳ありませんでした』と詫びて来る。僕は何年も前にデミオを調達してくれた時から彼の人情味ある人柄と、中学校の教師だったがいろいろあって今の職に就いたという風変わりな経歴、そこから来るであろう誠実さや暴走しがちな熱意をもった話しっぷりが好きで、妻らがアメリカに帰国中は暇を持て余しついでに彼を尋ね、無駄話をぶってはマツダの営業妨害を繰り返していた。そんな彼に『NO!』を突きつけるのは心もとないが、だからと言ってなあなあにできることでもない。僕は本音をぶつけたが、彼もその真意を汲んでくれたようだ。
マツダに落ち度はあった。その信頼を取り戻すのはそう易々と出来はしない。でも、彼に対する信頼は変わらない。これからも時間を見つけては息子さんの様子などを聞きに、マツダの営業妨害に出向くとしよう。

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