2007-08-13

ヒグラシの鳴く頃


どこへ行っても仰山の車と人であふれかえり、おまけにこの暑さだ。なのでどこへも外出せず高校野球などをだらだらと観てはいたが、それにもいい加減飽きて来た。ならばと涼しいところを求め実家から比較的近くにある滝へ昨日と同様甥や姪、弟夫婦を連れ立って出かけることに。あまり有名ではないその滝は夕刻近くという時間もあってか訪れる人も少なく、ヒグラシの鳴き声が響く谷間にひっそりとしかし力強く白い筋を刻んでいた。滝壺に近づくと連日の好天にも関わらず水量豊富でその飛沫が風に乗って全身を包み、その涼感と言ったらクーラーなどの人工的なものとは比べるべくも無く、心までも涼やかにしてくれる。皆しばしの間言葉を忘れ、滝の気にのまれていた。ここ最近暑さや疲れを理由にして自然の中へ入ることから離れていたが、それがかえって更なる疲れやどうしようもない停滞感の原因となっていたのかも知れない。谷を渡る一筋の風や郷愁を誘うヒグラシの鳴き声は僕の身体をスーッと通り抜け、赤みを帯び始めた空へと舞い上がって行った。

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