2020-09-28

あれから10年













我が友がヒマラヤ・ダウラギリ峰アタック中に雪崩に巻き込まれ遭難してから10年が経った。標高7千mを超える神々の座に今も彼はとどまり、この10年を見守ってきた。

彼だったらこの10年をどう総括するだろうと考えてみたが、『いや、そんなもんじゃない?』とあっさりした答えが返ってきそうだ。新型コロナ以前においても世界は自国第一主義が台頭し、悪い方へと向かっていた。それが新型コロナ禍によって一気に不安定さが増し、今は誰も今後どうなってゆくのか読めぬ状況となっている。しかし彼なら『未来とは元来そういうもんだろう』と言ってのけそうだな。

この10年、自分は何をして来たのだろう。娘たちは確かに大きくなった。しかし自分は何か成長したのだろうか。日々の忙しさに流され、いたずらに時を過ごしてしまったのではないか、などと考えてしまう。

『君だったらどうしただろう』そう思うベースが自分の中にできて、自問自答することが度々ある。記憶の中の君は若いままでいつもはにかみながら答えているが、言うことはなかなか厳しくてね。

次の10年も悪戦苦闘しながら生きてゆく様を君は神々の座から見ているのだろう。そうやって君は確かに存在するのだよ。

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