2009-09-11

その後


生活保護を受けられるようになった橋の下の住人を最近は見かけていない。
Hさんは生活保護を切られたら、また橋の下に戻って来るかも知れないと言っていたが、いまのところは大丈夫のようだ。たまに自転車のペダルを力強く蹴りながら疾走する彼を見かけることがあるので、元気でやっているのだろう。
もう一人の住人のSさんは生活保護を受けられるようになってからも日中は橋の下に来て、それまでと同じように空き缶を集めて来ては潰していたのだが、最近はその缶を潰す音も聞こえて来ない。さらに自転車は置いてあるのだけれど集めた空き缶は散乱し、彼が居た気配がない。
そんな状態がしばらく続いたある日、もと型枠大工だったと言う彼が橋の下での生活中に築き上げて来たバラック小屋が解体され、彼の所持品ともどもうずたかく積まれていた。明らかにこれはゴミ収集のための堆積で、おそらく市の職員もしくは委託業者が、生活保護をもらうようになったSさんが戻って来ないようにするために行なった措置なのだろう。この大量の集積を見ながらSじいさんの新しい住まいにはこれほどのモノは無いだろうな・・などと思いながら、主の居なくなった橋の下に一抹の寂しさを感じるのだった。

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