2009-03-31

曖昧さの果てに


北朝鮮の弾道ミサイル(衛星ロケット?)に対しての政府の反応は実に曖昧で、これぞ日本だと言わんばかり。この点ある意味正しい日本をしているな、と思わなくもないがどうも歯切れが悪い。先日発表した破壊措置命令についてもメディア等で盛んに『迎撃する』なんてやっているが、その実弾道ミサイルが万が一軌道を外れ日本国内に落下するおそれがある場合に限って迎撃ミサイルを発射する、という素人からみてもちょっと迎撃するのが無理なような設定の仕方だ。そもそもまともに発射されたものですら、SM3・PAC3での迎撃は難しいという意見もある中で、弾道ミサイル発射後その軌道を監視・予測し、どの時点で正軌道から外れたと判断するのだろう?そして誰が判断を下すのだろう?わずか数分で着弾するというミサイルに対して、そんな迅速な反応を今の自衛隊が取れるとは到底思えない。なので、そこから考えられるシナリオは2つだと僕は思っている。
まず一つ目は、北朝鮮があくまでも人工衛星打ち上げだとしらばっくれるなら、日本もはなからミサイルを迎撃するつもりで対応し、そして見事迎撃成功した暁には当然予想される北朝鮮の激烈な反応を『ミサイルが軌道からはずれ、日本に落下する恐れが出たのでやむを得ず迎撃した』と逆にしらばっくれてやる方法。これは事実がどうであれ頭越しにミサイルを発射される日本にとっては大義があるし、国際的な同情を勝ち得ることができると思う。ただし、このシナリオはよほど迎撃に自信がないとできないことだし、外交的にも相当な手腕がいることだ。

二つ目は、取りあえず破壊措置命令を出して北朝鮮にプレッシャーをかけることで、国内にある『弱腰だ』という批判をかわし、政府はこの問題に対して積極的に対応していると国民に見せかけ、さらにはイージス艦を日本海に派遣したりPAC3を東北に移動したりして日本政府の『本気さ』を海外に向けても発信しているが、実際の所ミサイルを迎撃する自信はなく、ミサイル自体が軌道からはずれ日本国内に落下して来る可能性も極めて低いため、『迎撃する必要はまず無いだろう』との読みからわざわざ強気攻勢をかけているような気がしてならない。その場合万が一ミサイルが軌道を外れると迎撃しなければならず、迎撃成功が絶対条件となって来る。そんな自信の無い日本政府は皮肉なことに北朝鮮のミサイル打ち上げ成功を密かに祈っているに違いない。

いずれにせよ我が政府の対応がシナリオ1でないことは確かで、おそらく万が一ミサイルが国内に落下して来ても迎撃する自衛隊が年度替えのために人員配置転換があり、『引き継ぎがうまくできていなかった』という理由で迎撃失敗することになるだろう。

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