2008-11-21

野生生物調査人


何となくそんな予感がしてたんだ・・まだ会ったことも話したこともない人だったのに・・

ここ数日あるお寺の樹木調査をして来たが、今日は樹種名を特定するためにその道の専門家に来てもらい、平面図に落とされた樹木分布図をもとに同行する僕が樹種名を書き入れてゆく寸法だ。樹木調査を行うこと自体初めてなので要領が分からないが、とにかく樹種名さえ分かれば何とかなるだろうと軽い気持ちで専門家をお待ちする。時間通りに現れた彼は小柄で物腰の柔らかそうな人だったが、思慮深そうで何か一本通る強さを持った人物に見えた。渡された名刺には『野生生物調査人』と記されており、フリーランスで活動しているのだと言う。主な仕事は山野を切り開く開発前にそのエリアに何が生息するのか?という分布調査などであり、やはり猛禽類の生息域調査が多いという。ただしそんな毎日仕事があるわけでもなくそれだけで食べてゆくのは大変だとも言っていた。
仕事を始めると彼は僕が指し示した樹種名をいとも簡単に答えてゆく。僕も前もって自分なりに樹種名を書き込んでいたが、常緑樹は見分けがつかず成績はいまいちだ。一緒に作業しながら見分けるポイントなどをアドバイスしてもらい、何やら課外授業の様相を呈して来たがそれもまた良かろうと、じゃんじゃん質問を浴びせてゆく。そんな僕の攻勢にも快く丁寧に、しかも3倍くらいにして答えてくれるので、調査後半には僕自身で『これは○○ですよね?』と特定し、彼の所見を待つというペースで仕事を進めてゆく。
仕事をしながら彼と様々なことを話したが、不思議といろいろな点で共通点がありお互いに驚くということになり、自然と会話も弾んでゆく。聞けば彼は僕と同じ同郷の人で、同じような視点で物事を見、感じ、論じている。今まで初対面の人とそんな踏み込んだことまで話したことはあまりないが、彼はそういうことを感じさせないほど何か僕と引き合う点を持っているようだ。そうだな、ひと言でいうなら『話していて楽な人』とでも言おうか?
そんな調子で作業はすこぶる順調に進み、僕にとっても大いに勉強になった充実した一日だった。作業が終わったあとも何となく名残惜しくてお互い寒さに震えながら普段思っていること、思いついたことを話してここは一先ず撤収することに。
そこまで気が合う人は中々いないもんで、今日は貴重な出会いができてほんとうれしき一日だったな。

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