2008-11-13

夢の跡


もののふどもの夢の跡を読み取らんとて今日も1日城山の薮の中に潜伏し、力弱く飛ぶヤブ蚊に時折刺されながら犬走りを行ったり来たり登ったり降りたりと忙しなく、調査探索する斜面は急峻で油断をすれば真っ逆さま、崖に取り付き下を巻きケモノ道をトレースすると辿り着いたは櫓跡、これで2つの櫓が連絡し本丸下の防御網の一端が確認できたことになる。こんな道は江戸時代の古地図にも一切描かれておらず更に古い戦国の世の所産なのだろう。いままでに何度もこの城山に分け入っているが、不思議なことに見る角度が違えば見えて来る遺構の様子も大きく異なり、これまで気づかず見逃して来たいくつか痕跡をメモに取り測量図より大体の位置を特定し、今後の調査計画の立案参考として周辺の様子を撮影したところで次の遺構へと移ってゆく。僕は城の縄張りのことなどよく知らないが、自分の足で歩き現地の様子を確認し、当時のもののふの心情を想い、もし自分がここを守るとしたらどうしただろうか?攻めるとしたらどこを狙うか?などと考えながら探索している。なので僕の頭の中には『この時代の城はこうあるべきだ』や『こんなはずは無い』なんてことはなく、あるがまま残るがままの地形から勝手に想像しているだけで一般論からは大きく逸脱しているのかも知れないが、そこはいにしえと言えども同じ人間のやったこと。其の辺りの想いが共振すれば一人歩きの学術論の罠にはまることもなく、意外と史実を突いていることになるのかもね。

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