2016-08-25

バガンの夕日














イタリアの地震被害もひどいものだが、ミャンマーのバガン遺跡群の被害は自分も行ったことがあるところだけに気が気でならない。当時、巨大な仏教寺院は結構自由に上まで登ることができ、そこから見る夕日の美しさは例えようのないものだった。バガン遺跡群は現在の生活圏からは少し離れたところにあり、レンタル自転車を一生懸命漕いで各寺院を回るのだが、何しろその数がめちゃくちゃ多いので事前に目星をつけた寺院を目指さなければ効率よく回れない。自分は確か一週間この遺跡群の近くに滞在し、できる限りの数の寺院を参拝したものだ。そんな風に駆け足で各寺院を参拝していると、ある寺院で女性が恍惚とした表情で大きな仏様を見上げながら佇んでいた。寺院は静寂に包まれ、ロウソクの炎だけがゆらゆらと揺れていた。女性はずいぶん長くそこに佇んでいたようだったが、何かとても良い表情をしていた。まるでオリエンテーリングをするかのように各寺院を参拝していた僕は、その女性の姿を見て真の信仰とはどういうものかを教えられた気がした。
あの空間は今は観光スポットかもしれないが、その当時はまだまだ地元の人々の厚い信仰の場でもあった。
今回その大切な寺院群に相当な被害が出ていると聞き、ミャンマーの人々、特にバガン朝末裔の地元の人々の心の痛みは大きなものだと思う。なんとかして寺院を元の姿に修復できることを願わずにはいられない。

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