2016-07-03

混沌のダッカ














バングラデシュの首都ダッカを訪れたのは20年ほど前の話しになる。ミャンマーからビーマンバングラデシュ航空に乗ってダッカに着陸したが、空からは水と緑の豊かな国という印象を受けた。
空港からローカル交通機関を乗り継いでダッカ中心部へ辿り着いた経緯は、あまりにも大変だったために断片的にしか覚えていない。当時は外国人自体が少なく、非常に目立ったのをよく覚えている。特に白人女性などは目立ち過ぎるほどで、同じ外国人として心配していたほどだ。
ちょうどその頃は出稼ぎ労働者として日本で働いていた経験のあるバングラデシュ人が多くいて、街中で困っていると必ず『お助けマン』が現れて、流暢な日本語で『どうしたの?』と、とても親切に助けてくれたものだ。
ただ、バングラデッシュそのものはまさに『混沌』を体現したような国で、若かった僕は相当な衝撃を受け、既成概念をガラリと塗り替えられたのは間違いない。
そのダッカで発生した今回のテロに激しい憤りを感じるとともに、『混沌の国』に鬱積する不満の大きさを改めて見せつけられた思いだ。
当時のバングラデッシュでもこんなことがあった。
首都ダッカより南に下るとベンガル湾に面した大きな街チッタゴンがある。そこに滞在していた時に選挙があり、各支持団体の運動で街はかなり緊迫した雰囲気となっていた。自分はいつものように街中をぶらぶらしていると、『あなた日本人でしょ。明日は選挙で危なくなるから外に出ないほうがいいよ』と日本語で忠告してくれる人が現れ、その通りその日は大人しくしてホテルに篭り、翌朝外の様子を見に行くと、何台ものバスが破壊され、大きな暴動が起きたことを知らされた。迂闊にそんなところを歩いていたら命はなかったかもしれない。
昨今バングラデシュでもIS支持者や原理主義者らによるテロが繰り返されており、当局が大がかりな取り締まりを行っている最中での今回の事件だ。
亡くなられたJICA関係の方々には本当に気の毒でならない。無念だったろうと思う。
肝に銘じすべきことは、我々が海外に出て外国人となった時、残念なことに相手によってはソフトターゲットとなってしまうことだ。こればかりは防ぎようが無いことかもしれないが、リスクを減らすことはできると思う。
そういった管理を求められる世界情勢になってしまったんだ。

0 件のコメント: