2010-04-15

チベット大震


大地の怒りは何故貧しき人々ばかりを狙い撃ちにするのか。
最近では中国四川地域に始まり、さきのハイチそしてチリ。どこも経済的発展が目覚ましく、長年の貧困から脱する光が見え始めた矢先の大惨事だった。今回の青海省を襲った大地震も、日頃から何かと漢族に差別的かつ侮蔑的扱いを受けているチベット族の人々を直撃し、その被害の真相は中国政府の厳しい情報統制によってなかなか伝わってこない。この点は四川での大地震と明らかに違う。一部報道では地震の犠牲者数を600人以上と伝えているが、チベット族居住地域は広大なうえ標高が4千mを越え、被害の実態を探るのさえ困難な状態という。
中国政府はチベット族の不満が爆発せぬように迅速な対応を取っているというが、果たしてそれがどこまで本気なのだろう?おそらくは対外的なおかつチベット族のガス抜きを謀った、体裁だけ整える中国政府の常套手段だろう。彼らの考えることはただ1つ、今回の破壊を良い機会と捉えて、大復興の名の下に大量の漢族資本と人民を投入して名目上だけでなく、実質的な汎チベット圏の統制を狙っているに違いない。
いずれにせよ国家の戦略なんかどうでもよい。いまは1人でも多くの人が助かるのを祈るのみだ。

気になったので調べてみると、震源地にほど近い街ジェクンド(玉樹)は汎チベット圏でも特に信仰心が強い土地柄らしく、多くの僧院は文革でことごとく破壊されたものの、近年急速に復興されつつある過程だったという。今回の地震で再びその多くが破壊されたことだろう。しかし、彼らの信仰心がこの困難に打ち勝ち、そして僧院が彼らの手で興される日はそう遠くないはずだ。

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