2010-04-12

トンブリーの呪い


タイは今後どのような局面を迎えるのだろうか?
先のデモは黄色が街を支配し、今回は赤色が同じ街の要所を占拠している。この視覚的に非常に分かりやすい対立構造が実は見た目ほど単純ではなく、タイの根幹を揺るがすほどの根深き問題を抱えているというところに、今回の事件の皮肉さを感じてならない。
数日前に起きた騒乱の1つの舞台が『カオサン通り』だったことには衝撃を受けた。タイのカオサンと聞けばバックパッカーなら知らぬ者は居ないだろう。ここには世界中の旅人が安い宿と割安な航空券を求めて滞在し、情報交換をしたり疲れた身体を休めたりと各人各様の生き様が展開されて常に活気に満ちている。しかしその活気の中には倦怠感や迷いが漂い、それに呑まれてしまう旅人も数多く、いわゆる『沈没』して這い上がれぬ者が流浪する混沌とした場でもあるのだ。
そんな常に何百人もの外国人が行き交う大通りが騒乱の舞台になるなんて、しかも死者を出す惨事になろうとはまったく信じがたいことだ。確かに農村出身者が多く低所得者層が大半を占める赤色グループにとっては、カオサンのような所は目障りなところに間違いない。反対に政府側にしてみれば外国メディアが多数集結している所でデモ隊の横暴を許すようでは、世界に対するメンツは丸つぶれだと考えたことだろう。しかし結果を見れば多くの死者を出し、世界からの信用を失ってしまった。
様々な面で寛容なタイの人々を扇動する者よ、その罪は国を滅ぼし人心を惑わせる。
人々よ、オレンジ色の服を着て通りに出よ!さもなくば赤と黄を繰り返し、国を過つ結果となるだろう。そんなことは誰も望んでいないはずだ。

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