2006-12-27

ローツェ


そこで彼の目に映るものは一体なんだろうか?
いま、親友が冬季ローツェ南壁登山隊の一員として頂上制覇を目指しアタックをかけている。その状況は簡略な文章で即座にインターネットを通じ配信され、僕はぬくぬくとした部屋の中でリンゴをかじりながら知ることができる。だが、その内容はあまりにも過酷で現実に行われていることとは到底思えない。標高8000m、零下20度、凄まじい風のため体感温度零下30度以下、突風で10m飛ばされるがロープでことなきを得た、など想像すらできない世界に彼はいる。彼らには自分の『生命』という概念など消え去り、あるのはただ頂上を極めること、その一点しかないようだ。おのれの『生命』がむき出しにされた極限の状況下で彼の目に見えているものが何なのかを知りたいと思う。
今日の報告では頂上稜線上から雪煙なびくエベレストが目の前に見えたそうだ。それを見たとき、彼は何を感じたのだろうか?

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