2006-12-12

イスラム


ずいぶん前になるがイスラム教徒になりかけたことがある。
シリアの田舎町でのことだ。ある人の家に招待され、今からモスクへ行くので一緒に来ないか?と誘われた。モスクへ行くのは好きなのでついて行くと、畑に囲まれた丘の上に小さなモスクがぽつんとあり、中へ入ると銀細工で覆われた大きな棺の前で老女が泣きながら祈りを捧げていた。その様子を見ていると案内してくれた人がおもむろに『イスラム教徒にならないか?』と言ってきた。一瞬迷ったがとても自分にはイスラム教徒としての義務を果たすことができないと思い、丁重にお断りした。その人はこのモスクがシーア派教徒にとってとても大切な聖地であると教えてくれた。泣いていた老女ははるばるイランから巡礼に来たそうだ。
わずかな時間の出来事だったが、その情景を時々思い出す。自分には信じる宗教は無い。それでいいと思っている。だが、一心に祈りを捧げる多くの人々を見ていると『そこまで信じることのできる何かを持っていることは、いいことなのかもしれないな』と思えてくる。ただし、その方向性を誤まらなかったらだが・・

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