2015-01-25

末期の狂気














湯川氏を殺害し、その写真を後藤氏に持たせて声明を述べさせるなど、イスラム国の極悪非道ぶりは目に余る。彼らが湯川氏を殺したのは彼がシリアの反政府勢力の一員としてイスラム国に対しての戦闘に加わっていたことが理由と思われるが、後藤氏を殺す理由は何も無い。
今までのイスラム国の動きとしては敵対する者には容赦しないという傾向があり、事実多くの者が残忍な殺され方をしている。その点から見ると湯川氏を捕らえた当時から殺すつもりだったはずで、冷酷なようだが交渉のカードとして生かされてきたと言えなくもない。
一方の後藤氏はあくまでも人道的な活動をしてきたジャーナリストであり、日本も人道援助こそすれ軍事行動には加わっていない。よってどこに彼を殺す理由があるのか?と思ってしまうが、イスラム国のやることは狂気の沙汰なのでどうなるか分からない。
ただ、ここにきてヨルダンで囚われているサジダ・アルリシャウィ死刑囚と引き換えに解放すると言い出したことに僕なりの解釈をすれば、

・何の理由もなく後藤氏を殺せば世界世論、特にイスラム教徒の中にもイスラム国の大義を 否定する声が高まり、戦闘員のリクルートや資金集めに支障をきたす恐れがある。
・サジダ・アルリシャウィ死刑囚との引き換えにすれば、後藤氏を解放したというベター な印象を世界に与えるとともに、イスラム国は聖戦士を見捨てないという印象を得られ る。
これはイスラム国側からすれば後藤氏の読み上げたメッセージにあるように『simple』なことだろうが、 サジダ・アルリシャウィ死刑囚を収監しているヨルダンにしてみれば複雑なことだろう。ヨルダンは先に撃墜された戦闘機のヨルダン人パイロットを死刑囚との交換で取り戻したいだろうが、イスラム国側にすれば空爆した相手を生きて帰すことは考えていないと思う。このあたりのミスマッチが日本・ヨルダン・イスラム国との間でどんな動きになるのかは見当もつかない。

以上、僕としては 希望的見解としてイスラム国が後藤氏について『殺さないほうが得策』と考え始めているのではないかと思っているが、果たしてそうなってくれるだろうか・・

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