家族で夕食を共にし、そして娘達を風呂に入れ、お気に入りの絵本を読んであげる。歯を磨き、トイレを済ませたあとは寝室のある2階まで娘2人をいっぺんに肩車で担ぎ上げ階段をのぼる。寝室で『遊んでたらダメだぞ、すぐ寝なかんで』と娘達を寝かしつけ、僕は階下へ降りニュース9を見る。
いつもの平凡な日常だが、何かが足りない。車を運転していても人と話していても気怠いような感覚がつきまとい、身体の芯に力が無い感じがする。出るのはため息ばかりで、ずっと友のことが頭から離れない。
僕は以前と変わらぬ日常を淡々と続け、友は神々の座から世界を見下ろす。
『山本季生君の救助・捜索活動に関わる、カンパご協力のお願い』
捜索活動は終了しましたが、いましばらくのご支援をよろしくお願い申し上げます。
1 件のコメント:
10月15日
本日、カトマンズのスワヤンブナート寺院にて、本田大輔、田辺治、山本季生の葬儀をとりおこないました。
本田さんのご家族、幸恵さんのお父さん、捜索隊の皆さん、シェルパの皆さん、コスモトレックの大津さんご夫妻、黒田誠さん、協力隊の藤原瑞穂さんに、ご参列いただきました。
田辺、山本に関しましては、とり急ぎ遺影だけを用意して、気づいたら、彼らもひょっこり大ちゃんのお葬式にまじっていたような感じでした。
世界遺産のお寺で、ラマ僧(イメージとしては、ダライラマです)を呼んでのチベット仏教式のお葬式は、山を愛した彼らにぴったりの、質素で素朴で、遠い遠い国での出来事のような、心の中に、なにか壮大なものを抱かせてくれるようなお葬式でした。大ちゃんは荼毘に付されました。家族と一緒に、日本へ帰ります。
田辺さんと季生さんは、どこまでも山を求めているようなので、ダウラギリに眠ってもらいます。
いかにも彼ららしい姿なのではないでしょうか。ダウラギリ峰が、彼らの世界一でっかい墓標だということで、かっこつきます。
あとは遠征隊の終了届けや隊荷の片付けなどがありますが、カトマンズの日々は、だんだん静かになっていきます。
季生の奥さんからのメールです。
本当に、あの子はひょっこり帰ってきそうな気がします。
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