2022-11-29

大国の揺らぎ


 いわゆる大国が近年揺らいでいる。トランプ就任による影響から混乱に陥り、今もその後遺症に苦しむアメリカ。ウクライナ侵攻を強行し、孤立するプーチンとロシア。そして前例なき3期目に突入し、盤石かと思われた矢先の極めて異例の全国的な抗議行動。超大国と言われるこれら3国の揺らぎの原因がいずれも一個人に対する権力集中の結果であることが興味深い。民主主義国家の雄であるアメリカでさえ、トランプへの権力集中を抑えきれなかった。ましてやロシア・中国といった独裁国家ならそれを止める術は無い。古来独裁制によって恩恵を受けた国はどれほどあるだろうか。奇跡的に独裁者が有能で民衆のことを第一と考える者だったならば、トップダウンの国造りとしては成功を収めたかもしれない。しかし独裁国家の大部分は迫害と搾取に塗れていたのではないか。国が大きければ大きいほど集まる権力も強大で、ゆえに人はその権力に呑まれ、その力の源は自分自身なのだと錯覚してしまう。むしろあまりに強大な権力の上に立ち、その力に翻弄されると言った方がいいだろう。均衡を失った力は暴走し、やがて瓦解する。

大国の揺らぎは今後も続き、やがて瓦解に至るのだろうか。それとも揺れをうまく抑えることに成功するのだろうか。いずれにしても権力の集中が解消されない限り揺れが治まることはないだろう。

0 件のコメント: