2023-06-22

メディアの責任


 タイタニック号を探索するため潜航し、そのまま行方不明となっている潜水艇の5人の乗組員の安否については確かに心配ではあるが、この件についてメディアは騒ぎ過ぎだと思う。一方でギリシャ南部の地中海を航行中に沈没した密航船についてのニュースはあっという間に表から消えてしまった。この沈没事故では600人もの人が命を失ったというのにだ。

双方ともそれぞれにとっての大金を注ぎ込み、自らリスクを冒しての航海であることは共通しているが、一方は生きるためになけなしの金をはたいて乗船した難民達であり、もう一方は1人あたり3500万もの参加費を払って乗船した富豪達だ。結局メディアなんてものは人が注目する方へと偏っていくのだろうね。どんな悲劇があっても、人道的な問題があっても優先されるべきは注目度であり、各メディアが同じ様に注目されそうな事柄ばかりを扱うので、どのメディアも同じ内容になってしまう。あるメディアが先んじて報道したことを各メディアがこぞって追従するピラミッド型の報道体系では情報の多様性が失われ、概ねメディアが配信する範疇でのみ情報を受け取る様なことになってしまっている。これではプロパガンダなどのミスリードを容易に行え、客観的な判断がしずらくなる。情報社会と言われる現代にあっても、我々はその膨大な情報の中からメディアというフィルターを通された内容にのみ触れることが多い。見えないところで多くの人が命を落としていても、それを知ることさえないのだ・・


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