2010-10-13

現実


本田さんが遺体で発見されたという一報は、3人の手がかりを求めて待つ皆にとてつもなく重い現実を突きつけた。早く助けてあげたいという切実な思いと、遺体で発見されるという事実の狭間には、容易に心の切り替えができない大きな溝が横たわっている。未だかつてこれほど現実を恐れたことはないし、現実の重みを感じたこともない。人の『死』はいつも不意にやって来ては、その度に衝撃を受け、泣き、悲しんだが、それでもなんとか現実として受け入れて来た。しかし今回はやはり現実の出来事とは到底思えない。それは事故現場が容易に近づけぬ隔絶の地でもあり、標高5000mという状況も想像すら難しいことにもよるが、何より今回の事故の理不尽さが一層この現実を受け入れがたくしている。
そうは言っても僕が受け入れようが受け入れまいが、そんな思いなんか関係なく現実はどんどん進行し、新たな展開を迎えてゆく。それに僕は取り残されてゆくのだろうか・・

ある瞬間、突然思いが込み上げて来てたまらなくなる時がある。もう何年も前に交わした会話や、そのとき言えなかった思いなどがある時は懐かしく、またある時は悔いを伴って何度も何度も蘇り、僕の中を通り過ぎてゆく。
やっと始まったばかりだった。そこには未来があり、それが僕にも見えていた。

やはり僕はまだ、この現実を受け入れられない。



以下、共同通信配信ニュースを引用

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不明の2邦人、発見できず ヒマラヤ、事実上捜索終了


 【ニューデリー共同】ネパール・ヒマラヤの高峰ダウラギリ(8167メートル)で日本人登山家3人が雪崩に巻き込まれた遭難事故で、日本プロガイド協会(愛知県刈谷市)の会員らによる捜索活動が13日も続行されたが、行方不明になっている名古屋市中区の田辺治さん(49)と富山県朝日町の山本季生さん(36)は見つからなかった。

 カトマンズ入りしている同協会の角谷道弘会長(47)によると、遭難現場付近にいる捜索隊は14日から撤収作業を始める予定で、捜索活動は13日夕で事実上打ち切られた。

 12日に標高5千メートル付近で発見された長野県白馬村の本田大輔さん(32)の遺体については、13日にヘリコプターでカトマンズへの搬送を試みたが、悪天候のため延期。天候の回復を待って14日にも搬送する予定という。

2010/10/13 23:54 【共同通信】

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本田さん発見によりもう少し延長するかも、と思っていたが捜索が断念されるようだ。
配信ニュースを見ても相変わらず現地の天候は不安定らしい。二次災害の恐れを考えるとやむを得ない判断なのかもしれないが、ご家族の心中を察すると言葉もない。

発見されなかった山本君と田辺さんそれにシェルパ1人は、ダウラギリの懐に抱かれて眠り続けることになる・・



『山本季生君の救助・捜索活動に関わる、カンパご協力のお願い』

『ネパールの“すずちゃん”から』

何卒、お一人お一人の御力添えをお願い申し上げます。

3 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

捜索終了そんな・・・

chikyujin さんのコメント...

コメントで捜索活動が打ち切られたことを知りました。
本田さんが発見されたのだから・・との思いもありますが、それだけ現地の状況が悪いということでしょう。
今はただ、捜索隊が無事に帰ってくることを祈ります。

mamanachan さんのコメント...

本田さんはレコにより発見されました。
捜索打ち切りは家族からの意向でもあります。
天候が悪いうえに、皆さん体力もかなり消耗しています。
これ以上の悲しいことは起きてほしくない。
一刻も早く、安全な場所まで戻ってほしい。

それが、願いです。

あの子もそう考えることでしょう。